造語の天才の言葉遊び的人生論

『マイ仏教』(みうらじゅん著)を読みました。

わたしは著者が出演されているテレビ番組「新TV見仏記」と「笑う洋楽展」を毎週観ているので、ファンといってもいいかもしれません。

わたしが最初に著者に興味を惹かれたのは、20代後半のころ、わたしにも仏像鑑賞ブームがあり、著者といとうせいこう氏が各地の仏像を訪ねて記した本「見仏記」あたりからではないかと思います。

宗教の本ではない

この本を要約すると、著者が小学生のころに怪獣をきっかけに仏像に惹かれたことから始まり、仏教系の中高一貫校に進むなどといった、自分の仏教にまつわるバックボーンを振り返りつつ、仏教の教えをもとにした人生論を語る、といったことになるのかもしれません。

ただ、そこはそれサブカル界に生きる多才な著者、「宗教が苦手」と信仰心もそれほど強くないようなので、まったく堅苦しくないというより「どこまで本気かわからないけど語られていることはよくわかる」という、楽しい本になっています。

造語さく裂

「マイブーム」「ゆるキャラ」などといった造語は、著者が造ったことは有名です。

本書のなかにも言葉の持つパワーについての記述で、

「仏像ブーム」という言葉も、「ゆるキャラ」という言葉も、それまでその言葉が示すような現象や存在があったとしても、言葉を与えられなければなかなか実体化していきません。しかし、不思議なもので、言葉として定着した瞬間、一気にその実体が目に見えるようになってきます。

と触れられていますが、著者の造語は非常に短い言葉のなかに本質がわかりやすく凝縮されていて、まさに「現象を実体化」しており、造語の天才だなと思うわけです。

本著のなかでも、

自分なくし
写経(※本来の「経典を書写」という意味ではない)
人間けだもの
僕滅運動(※「撲滅」の「撲」ではなく「僕」)
ホビー教
後ろメタファー
比較三原則
不安タスティック!
地獄ブーム
機嫌ブーム
グレイト余生

などなど、造語がさく裂しています。

というか読んでて「この言葉使いたくて、この文脈なんじゃないのっ」と思ったりするところもあったりして、ある意味、仏教の教えをうまくネタに使った壮大な言葉遊びの本と言えなくもないです。

「自分なくし」

そんな本書にあって、メインとなっているテーマが上記の造語のひとつ「自分なくし」です。

仏教の「諸法無我」という教えから「自分なくし」という言葉が出てきます。

私は、「自分探し」よりもむしろ、「自分なくし」の方が大事なのではないかと思っています。お釈迦さんの教えにならい、「自分探しの旅」ではなくて、「自分なくしの旅」を目指すべきなのです。

「自分探し」という「本当の自分」とか「自分らしさ」といった、いわば答えのないことを求めて結果的に自分に縛られて不幸になるより、自分をなくして生きるテクニックを身につけよう、といったところでしょうか。

わたしはリタイアしたので、社会的な自分がほとんどなくなってしまってますが、「グレイト余生」をのんびり生きていきたいものです。

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