以前の記事に引き続き、『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(森沢洋介著)による英語学習の備忘録です。
mountainが「マウン、ェン」に聞こえる
以下のような例文がありました。
(富士山は日本で一番高い山です。)
Will you please play the piano for everyone? – Certainly.
(みんなのためにピアノを弾いてくれませんが? – いいですよ。)
The cake has been eaten by Tom.
(そのケーキはトムに食べられてしまいました。)
気になったのは「mountain」「certainly」「eaten」の発音です。
これらの発音のイメージを強引にカタカナ表記すると「マウンテン」「サーテンリー」「イートン」みたいな感じでしょうか。
ところが、付属のCDを聞くと「マウン、ェン」「サー、ンリー」「イー、ゥン」のように聞こえます。読点「、」のところで一瞬音が消える感じです。
ちなみに、Weblio辞書のクイック再生で聞くと、「mountain」と「certainly」は「マウンテン」「サーテンリー」、「eaten」は「イー、ゥン」のように聞こえます。
発音記号的にはみんな「tn」
違いが出ているのは「mountain」と「certainly」は「tain」の部分と「eaten」の「ten」の部分です。
ということは「tain」と「ten」で発音が違うのかと思って発音記号を見ると「mάʊntn」「sˈɚːtn」「íːtn」でいずれも「tn」ということで同じです。
ではなぜ違いが出るのか?
ネイティブスピーカーの発音集
例のごとく、ネットで調べていたら面白いサイトがありました。
このサイトの中にネイティブスピーカーの発音集があるのですが、トップページなどからはたどり着けなかったので、各単語のページを直接リンクを張っておきます。
これらのページではネイティブスピーカーの発音がいくつか聞けるのですが、実際聞いてみると、「eaten」を「イートン」と発音しているのもありますし、「mountain」を「マウン、ェン」と発音しているのもあります。
これはつまり、人による、あるいは、同じ人でも状況次第でどっちもありってことのような気がしてきました。
鼻腔開放(びくうかいほう)
そんなわけで、もう少し調べてみたら、どうも「鼻腔開放」というものらしいです。
Wikipediaはちょっと難しい…
鼻腔開放(びこうかいほう)とは、破裂口音の閉鎖の開放を鼻腔から行うものをいう。
破裂音は閉鎖の形成・閉鎖の持続・閉鎖の開放という過程をもつが、最後の段階において口腔内の閉鎖は維持しながら口蓋帆を下げて鼻腔へ空気が開放されるようにすることである。破裂音の次に同じ調音位置の鼻音がつづく場合に起こりやすい。
国際音声記号では補助記号として[ ⁿ ]が鼻腔開放に当てられており、[dⁿ]のように記述される。
と、わたしにはよくわかりません…
舌を離さない、息を鼻に抜く
ほかを探してみたところ、下記のサイトがわかりやすい感じでした。
このページの発音記号「tn」についての記載を引用すると(太字はわたしがつけました)、
① tn の発音
cottonの発音を解説する。語尾のtonの真ん中のoは省略して発音しないのでtnの発音になる。
tは歯茎破裂音(閉鎖音とも言う)、nは歯茎鼻音でありどちらも歯茎音であるから舌の位置は同じである。同じであるから固定したまま動かさない。nは鼻音であるから息は鼻に抜ける。従ってtの位置に舌を当てた状態で、破裂させないで、舌をそのままにして息を鼻に抜くのである。
これを鼻腔開放あるいは鼻腔破裂と呼んでいる。
繰り返すと、舌を離さない、息を鼻に抜く、である。
cottonと繰り返し言ってみよう。
cottonの他にはbutton、garden、midnight などがある。
dはtの有声音であるからtと同じ様にすればよい。
ようは、本来「tn」を発音するときは、日本語の「トン」みたいに発音するのではなく、「ト」と言おうとして舌先を歯茎に当てた状態そのまま「ン」と言うという感じでしょうか。
これを意識して「mountain」を発音しようとすると、教材CDのように「マウン、ェン」になるのもなんとなく理解できます。
「マウンテン」は舌打ち的、な解釈
ではなぜ「マウンテン」と聞こえることがあるのかというと、舌先が歯茎からうっかり外れる(or わざと外す)ことがあるからではないかと。
鼻腔開放で「マウン、ェン」と発音しようとしつつ、「、ェ」のところで舌先を歯ぐきに付けたままの状態はちょっと苦しいので、舌先を外すと舌打ちみたいになっちゃうんじゃないかなー、という解釈です。
話すより聞いて判断できるか
まあ、前出のネイティブスピーカーの発音集では、はっきりと「マウンテン」と発音しているものもあり、舌打ちのレベルを超えているものもあったりするので、これで通じるならどっちで話してもよさそうな感じです。
むしろ、「マウン、ェン」「サー、ンリー」「イー、ゥン」のように聞こえたときに「mountain」「certainly」「eaten」と判断できるかどうかですかね。