『人生を<半分>降りる』(中島義道著)は、何年か前に読んだ本です。
リタイアの背中を押した本
当時、セミリタイアブログのどなたかが書評を書かれていて読んだのだと記憶しています。
本書のサブタイトルに「哲学的生き方のすすめ」とあるように、本書執筆時の著者は電気通信大学の教授で哲学を教えていた方です。
哲学者ということもあり、ニーチェやカントなどの哲学者などの言葉を引用しつつ、当時の哲学界や常識的・一般的とされる世の中の風習などを批判しつつ、自らが真に哲学者として生きるために「半隠遁」という道を選ぶ、といった内容でしょうか。
半隠遁:セミリタイア
「半隠遁」とはまさに、いまでいうところのセミリタイアですね。
著者の場合、完全に退職するわけではなく大学に所属しつつ、自分のやりたくないことはなるべくやらないようにして、クビにもならないようにのらりくらりと乗り越えつつ、本当に自分のやりたいことに残りの人生を費やす生活という感じのようです。
単行本としては1997年に発行された本なのでもう20年も前の本ですが、こんな究極のワークライフバランスとも言えることを唱えていた人がいたんですね。
わたしはできなかったですが
わたし自身はもう退職してしまっているので、「半隠遁」どころか「全隠遁」みたいなものですが、在職当時はそういった「少し抜いて」仕事を遂行することができないようなポジションだったので「半隠遁」はできませんでした。
おそらくは、自分のポジションを捨てることができれば「半隠遁」もできたのではないかと思います。
実際、社内にはそういった斜陽な感じの社員も多少はいたように思いますが、それはそれで社内で不安定な立場になり、わたしのメンタルでは会社に行くのがけっこうつらそうな感じだったので退職という道を選びました。
まあ、もしこれから働くようなことがあれば、最初から「半隠遁」を目指したいと思います。
単行本の帯より
最後に、本著が単行本で発行されたときの帯から、
人生の「虚しさ」を子供のころから実感しており、何をしてもヒューッと風が首筋をなでるように虚しさを感ずる。…ひとことで言えば、何をしても納得がゆかず何をしても不満足で何をしてもつまらない。死にたくもないし、このままダラダラ生きていくことも耐えがたい。/こんな人は、ぜひ残りの人生を<半分>だけ降りて、自分の人生の「かたち」をつくることにいそしんでもらいたいのです。(第六章より)
人生の残り時間を想い、より自分のために生きていきたいと考えるとき、仕事や世間などについてどのように考えるかといったヒントが詰まっている本です。
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