以前の記事に引き続き、『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(森沢洋介著)による英語学習の備忘録(&昨日の記事の『一億人の英文法』の具体例)です。
この本に下記のような例文がありました。
(弟は僕より速く泳げます。)
My brother studies much longer than I do.
(兄は僕よりずっと長く勉強します。)
わたしはこの「than」のあとに「I」や「I do」などのいわゆる主格が来るのに違和感を感じました。
前者の場合はかっこ付きなので、「I」でもいいよ、といっているのだと思いますが、口に出してみるとやっぱり違和感があります。
後者の場合も口に出してみると少し違和感がありますし、ここは素直に「me」でいいんじゃない?と思ってしまいますが「(me)」という記載はありません。
文法書「Forest」で調べると
これらについて、手元の「口語英語Forest 4th Edition」を調べると、
than の後に代名詞だけを置く場合、口語では、それが主語であっても、(略)目的格を置くことが多い。ただし、代名詞の後に動詞や助動詞を続ける場合には、主語となる必要があるので、主語を用いなければならない。
(p.240 「than の後の代名詞の形」)
つまり、「me」だけの場合は「I」でもいいけど、話し言葉では「me」を使うのがふつうですよ、ということで、これはわたしの感覚とあってます。
「I do」の場合も、thanの後に単語ではなく節を入れようとしているのだから、「me do」ではおかしいので「I」にしなければならないのは理解できます。
than の後に続く内容によると思う
例えば、
(兄は僕が思ってたよりずっと長く勉強します。)
のように、「思ってたこと」と「勉強する長さ」という異なる比較対象の場合はすんなり入ってきますし、口に出しても違和感はないです。
一方、「I do」の場合、同じ「勉強する長さ」を比較しているわけで、言ってみれば「I study」を略して「I do」にしているようなものだ考えると、もう「me」だけでいいんじゃないかと思うわけです。
↓
My brother studies much longer than I do.
↓
My brother studies much longer than me.
『一億人の英文法』で調べると
同じことを昨日記事にした『一億人の英文法』の比較級表現の説明では、
thanの後に代名詞がくる場合は目的格となります(× than she)。ご注意ください。
(p.300 「比較級の基本」より)
と記載されていました。
さらにこの本では、than に続く部分の表現は「as-as」と同様とされているので、その説明を見ると、
as-as の後ろに代名詞を使うときには、目的格にするのが基本です(→p.284)。この場合、主格を使っても間違いというわけではありません。
.
(1) Tom is as tall as I.
だけどこれはやっぱり不人気な形です。それは堅苦しいから。
(略)
(2) Tom is as tall as I am.
この場合、用いられるのは当然主格(I)。主語ですからね。この形も as tall as me の次にポピュラーな形。さて、as tall as I が堅苦しく感じられるのは、文でもないのに主語を使ってやがるから。そこに「本来の厳密な使い方を意識しているんですよ」が感じられるからなのです。文じゃないなら me と指してあげれば十分だろ? それがこの形が不人気な理由です。
(p,290 「マニアなあなたへ:as-asの後ろに目的格が使われる理由」より)
すばらしい。まさにわたしがぼんやり感じていたことを見事に言語化してくれてます。
まさにこれが昨日の記事に書いたような「溜飲が下がる」感じです。
この本では、こういったことをあちこちで感じることができるのが魅力です。
「than me」でいいということで
というわけで、この例文の場合は「than me」でいいということですね。
まあ、今回の例文が記載されている瞬間英作文の本では「文法的にこういう表現もできるよ」という意味で「I do」をわざわざ入れていると思うので、こうやっていちいち細かい点をとらえてどうこう考えてもしょうがないのかもしれません。
だた、こういった違和感のおかげで、こうやって調べものをして理解を深めることにもつながっているわけなので、この瞬間英作文本にも感謝しきりです。