『ピアノ・ブルース』という映画を観ました。
マーティン・スコセッシ監督が掲げたTHE BLUES MovieProjectのひとつで、本作はクリント・イーストウッドが監督してます。
なぜにクリント・イーストウッドかというと、彼は小さいころからブルースを愛聴してきたようで、自らもピアノを弾き、音楽をテーマにした映画もいくつか撮っていて適任だったということでしょう。
内容的には、クリント・イーストウッドがブルースにゆかりのあるピアニストとピアノを前にそれぞれの音楽を始めたきっかけや各時代の音楽的背景などを語らったり生演奏したり、古い演奏映像などをはさみつつ進んでいくというシンプルなドキュメンタリーです。
この動画、最近よく観てる是枝監督のDVDのついでに借りたやつで、あんまり期待せずに何気なく観てたんですが、これが思いのほかツボでした。
まず、出演してる何人かのミュージシャンのルーツがブギウギという点で、わたしのピアノの練習をし始めたきっかけもブギウギだったので「おっ」と思い、なんと言ってもいま練習してる曲のひとつであるTipitinaのきっかけとなったドクター・ジョンの対談や演奏がわりと長時間フィーチャーされているというのがうれしい驚きでした。
その他、古い映像もドクター・ジョンが生涯の憧れとするプロフェッサーロング・ヘアーのインタビューや演奏や、これまた地味に練習中のSwanee River Boogieの別バージョンぽいSwanee River Hop(ファッツ・ドミノ)、ひところハマってたオスカー・ピーターソンなどツボ押されまくりでした。
なかでも映画終盤に出てくる撮影当時90歳くらいではないかというジャズピアニスト、ジェイ・マクシャンの味のある演奏や、もうけっこうな爺さんになっていたであろうプロフェッサー・ロングヘアーの一見ぶっきらぼうに見える演奏は、自分が目指すべきなにかを感じます。
全体を通してブルースやブギウギなピアノが流れているBGMとしても心地いい映画でした。考えてみたらこれだけブルースのピアノに焦点を当てた作品は貴重かも。
知らなかったピアニストや曲に触れることができますし、エンドロールには使われた映像の曲名なども出てくるので、気になった曲をチェックすることもできます。
ちなみにわたしは、よく知らなかったオーティス・スパンの Ain’t nobody’s business にグッときました。エンドロールのBGMのHow Long Blues(ジミー・ヤンシー)もブギっぽいフレーズも聞こえるゆったりしたピアノソロは練習してみてもいいかも。
今後も何度か見返しそうな予感です。