わたしは幼少から青年期あたりまでの多くを石川県金沢市で過ごしたんですが、最近妙に郷愁な感じになってます。
HDDレコーダーで「金沢」をキーワードにして旅番組やドキュメンタリー、ニュース、ドラマなんかを片っ端から録画して観てたり。
ターゲットは旅の内容とか取材対象、ストーリーなどの番組のメインテーマではなく、背景に映り込んだ街の風景をマジマジと観て感慨に耽るというちょっと変則的な鑑賞。
旅番組やサスペンスドラマは兼六園や武家屋敷、茶屋街、近江町市場といったいわゆる観光スポットのお決まりのアングルばかりであまり興味をそそられないけど、古いサスペンスものだと昔の街並みが映ってたりしてそれはそれで貴重だったりします。
一番楽しいのはドキュメンタリーもので、何気ない住宅街なんかが映ってて「あーこれはあそこだな」とか「これはいったいどこだろう」「こんなふうになったんだ」とか考えながら観るのが楽しいのです。
映像で過去に行ったことがある地域なのにどこかわからなかったら、映り込んだ電柱や看板などからネットで検索してストリートビューで確認したり。
でもその風景と過去の思い出を結びつけて懐かしんだりするのではなく、単純に風景そのものを楽しんでるという自分でも何をしてるのかちょっとよくわからない。
わたしがよく知ってる金沢は30年くらい前で、当時の金沢も観光地だったけれどもなんとなく斜陽な感じで、ひがし茶屋街もいまより寂れた感じ、にし茶屋街に至ってはただの古い住宅街だった記憶があります。
それがNHKの大河ドラマ「利家とまつ」あたりから再開発が進み始めて、後の北陸新幹線開業に向けてどんどん再開発が進み中心部のメジャーな通り沿いはかなり変わった一方で、ちょっと外れるだけでびっくりするくらい幼少期と変わってなかったり。
そういう変わったもの変わらず残ってるものを映像を通して眺める趣味という感じでしょうか。
高校生くらいの頃は地元にまったく魅力を感じなくて、早く県外に出たいと思ってました。
その後、東京での暮らしが根付いてからも特に金沢への興味はなく、一生行くことはないかもしれないとも思ってたのに。
結婚してからも何度か立ち寄ったけど軽く懐かしいと思った程度で、4年前くらいに行った時にはじっくりルーツ巡りをしたものの、内心「これが最後かもな」くらいに思ってたのに。
そんなに郷愁に浸ってるなら、老後は金沢に移住などと考えるかというとそんなことはなく、郷愁なんて1ヶ月もすれば生活にかき消されてしまうだろうし、冬はいろいろめんどくさいだろうし、なんだかんだ言って東京の郊外の方が暮らしやすいだろう。
どうせ引っ越すなら大阪や京都の郊外の方が楽しいかもしれない。まあ、それもカミさんと義母がいるのでそういうこともないだろう。
まあ、こういった郷愁も老化現象のひとつなのかもしれない。
などとぼんやり考えつつ、今日も金沢の街並みに想いを馳せるのだった。